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第8回 グルメ料理僧が探る心から美味しいと思えるナチュラルフード

「亀田製菓通販いちば」スペシャルインタビュー 

ゲスト:愛知県碧南市「小伴天はなれ 日本料理一灯」店主・料理プロデューサー 長田 勇久(おさだ はやひさ)氏

 

愛知県碧南市にある日本料理の名店「小伴天はなれ 日本料理一灯」の店主で料理プロデューサーの長田勇久さんは、自ら経営する「日本料理一灯」で伝統野菜や地元の発酵調味料を使った料理を提供。素材が持つ本来の美味しさを引き出す郷土料理を求めて、遠方からもお客様が数多く来訪されます。

長田さんは地元の食材・食文化を料理人の立場から伝え、オンラインも活用した一連の食育活動において2022年、第17回食育推進全国大会 ボランティア部門で農林水産大臣賞を受賞されました。今回は、地域の食材と発酵文化、そして和食の魅力について積極的に発信を続ける長田さんに、地域の特性に根ざした和食を提供している思いなどについて伺いました。

■副産物を活用し、素材を活かしきる日本料理の知恵
■家康や信長も食べていたと言われている三河発・伝統調味料
■和食で使う「伝統食材」・「新食材」のあり方
■和食を、そして郷土料理を次世代に伝えていくために

 

 

■副産物を活用し、素材を活かしきる日本料理の知恵
-出汁の材料も発酵調味料も、手軽に使うために手間暇かけて作られている

 

青江)2013年にユネスコの無形文化遺産に登録されて以来、ますます和食が世界から関心が寄せられるようになりました。和食の料理人である長田さんは、その特徴や魅力についてどのようにお考えですか?

 

長田)和食は「煮炊きの料理」です。お米も水で炊きますし、和食の基本はご飯と味噌汁だと思います。
そもそも日本ほど水がいい国はありません。その水で食材を煮炊きするのが和食です。そのために汁をたっぷり張ることができるお椀が生まれ、手で器を持って食材と一緒に汁をいただくのが特徴と言えます。

食材と汁を一緒にいただく和食の特徴は、やはり出汁にあります。昆布と鰹節の出汁が一番ポピュラーですが、それだけではなく、煮干しや干し椎茸の戻し汁なども出汁に使います。このように様々な種類の出汁をうまく組み合わせて使っているのは和食ならではだと思います

 

青江)和食は水の文化なので、地域で水が異なると、出汁の引き方も変わってきますね。関西と関東では水が違うので、出汁の出方や味が違うとよく言われます。

 

長田)京都の料亭が東京で店を出した時に色々試したけれども同じ出汁の味にならないから、京都から水を運ぶこともあると聞いたことがあります。そのあたりはどこであっても味のベースである出汁を、同じにしたいというお店のこだわりなのだと思います。

 

 

《甘鯛の椀物》

青江)また、昆布や干椎茸などの出汁も、出汁がメインではなく、昆布を干椎茸を食べるために戻した水が美味しいので、出汁として使うようになったそうですね。戻し汁を捨てずに美味しく使いきる、そういうところも日本食の素晴らしいところだなと思います。

 

長田)干椎茸にしても切り干し大根にしても保存するために乾物にしているのですが、そうしたほうが美味しくなっている。戻し汁も利用できてしかも美味しいのですから、一石二鳥です。

三河の伝統的な発酵調味料である酢やみりんは酒粕を利用して作ったもの、たまり醤油も豆味噌を造るときの副産物なのですが、副産物であってもあますところなく食材を活かしきる、大切に使うという点において出汁も発酵調味料も、日本の食文化に共通する奥深さを感じます。

 

青江)本当にそう思いますね。

 

長田)出汁を取るのは簡単で、昆布は水に浸しておくだけで出汁が出ますし、それを沸かして鰹節を入れれば出汁を引くことができます。でも、その出汁を取るための材料は、時間をかけて加工されたものを使っています。例えば昆布は、海から揚げてすぐのものではなく、干してから1~2年貯蔵庫で乾燥、熟成させたものを使いますし、鰹節も製品によっては煮てから乾燥、燻製、カビ付け、天日干しなど複雑な工程を経て作られます。出汁を取る作業は一見、楽に思えますが、昆布も鰹節もとても手間暇がかかっているのです。

発酵調味料も、使うときは必要な量を料理に加えればいいのですが、造る過程はとても複雑で手間と時間がかかっていて、知恵や技が詰まっています。そういう点も似ていると言えるかもしれません。

《和食の味を支える出汁》

 

■家康や信長も食べていたと言われている三河発・伝統調味料
-八丁味噌などの豆味噌、みりん、酢やたまり醤油など、南三河は「発酵調味料」の宝庫

青江)長田さんは地域の特性に根ざした和食を提供されていますが、八丁味噌を始め、みりんや酢など、なぜ三河地方で独自の発酵調味料が造られているのでしょうか?

 

長田)調味料の中で歴史が一番古いのは350年以上前から造られていて、徳川家康や織田信長も食べていたと言われている八丁味噌です。昔ながらの八丁味噌は山高く積み上げた石で3年押して作るので、水分が少なく堅いのです。ですから団子状にして持ち運んでも崩れにくく、塩分もうま味もあり日持ちもするので、戦いに向かう際の携行食として、武士の間で非常に好まれました。

《「まるや」の味噌蔵 写真提供:株式会社 まるや八丁味噌》

三河地方は温暖な気候で、水もうまく引くことができたこともあって稲作や農業が盛んでした。木桶を作る技術もあり、酒造りが栄えたのです。知多と三河地方の酒は、江戸と大坂の中間の地域のお酒ということで「中国酒」と言われていました。酒の製造量が日本で2番目くらいに多い時期もあり、そうしたことから今でも造り酒屋さんが数多く残っています。

酒を造ると副産物として酒粕ができますが、その酒粕を利用した酢が登場しました。酒粕から造る粕酢が「山吹」と呼ばれる色の赤い酢で、酢飯に赤い色がつくことから江戸前の寿司飯のことを「赤シャリ」と呼んでいた時代があります。酒粕から作られた酢の出現によって、寿司を安価に食べられるようになり、江戸の庶民の間で寿司がファストフードとして人気を得たのです。

代表的なお酢メーカーのある半田市の近くにある常滑市は陶器の産地で、酢やお酒、みりんを運ぶため甕を作りました。また半田市の海向かいの碧南市では酒粕から作った焼酎、いわゆる粕取り焼酎を造り、蒸し米と麹にその焼酎を加えて熟成させてみりんを作ったのです。三河の酢もみりんも、実は酒造りの文化が育んだものなのです。

 《みりんのかい入れ作業。もろみをかき混ぜている 写真提供:三州三河みりんの角谷文治郎商店》

 

■和食で使う「伝統食材」・「新食材」のあり方
-「伝統食材」野菜本来の味がする伝統野菜を三河の和食スタイルで残したい

  

青江)ところで、お店の名前の「一灯」は、「南三河の食文化を発信し、お客様と生産者様が交流し、活性化していく一つの灯りとなりたい」という思いから名付けられたとお聞きしています。また開店して以来、地元の伝統野菜を意識して使っていらっしゃいますよね?

 

長田)あいちの伝統野菜として、現在35品種が制定されています。人参だけでも3種類ありますが、碧南鮮紅五寸人参は砂地である碧南地域で育ちやすい人参です。一方、木之山五寸人参や八事五寸人参もやはりそこの土地で育ちやすく、他の土地だと育ちにくい。伝統野菜はそれぞれその土地に合った特徴を持っています。

碧南は人参の産地で、クセがなく、ジュースやサラダにしても甘くて美味しい、子どもたちも食べやすい人参「へきなん美人」も登場しました。こうした品種改良を行うことで、子どもたちが食べやすくなり、人参を好きになったのはいいことです。しかしその一方、野菜が持つクセや個性が消え、もともとあった栄養素が失われている。野菜本来の味がわからなくなっていく側面もあります。そもそも人参臭い人参ということは、言い方を変えれば人参らしい人参なんですよね。やはり返るべき原点でもある昔の人参を残さないといけない、と思います。元々日本人には野菜を生で食べる習慣はなく、野菜をたまり醤油や白醤油で煮たりしたものが三河の郷土料理です。今の人参は、生で食べると美味しいですから、サラダなど生に近い状態で出しますが、伝統野菜の人参は、しっかり火を通してお出しします。そのほうが人参らしさを引き立てられるからです。


《あいちの伝統野菜(冬)》

 

-「新食材」唐揚げや炊き合わせに使える「ベジミート」の和食

 

青江)一方、新しい食材であるベジミートも積極的に使っておられる永田さんですが、具体的にはどのようなお料理を作られるのですか?

 

長田)下味をつけての唐揚げが多いですね。食感の変化を出すために炊き合わせに使ったりもします。一度揚げてから調理すると、がんもどきに近くなるんですよね。精進料理では、がんもどきやれんこんをすり下ろしたものを肉の代替品として使うことがありますが、ベジミートはそういう中の一種類として使いたいです。色々な理由でお肉を食べられない方は結構いらっしゃるので、そういう方へのご馳走感がありますし、満足感を増すことができる。料理構成のアイテムのひとつとして有効性があると思います。

 

《碧南市の小学校での出前授業・白醤油教室》

 

□和食を、そして郷土料理を次世代に伝えていくために

-子どもたちへの「出前授業」で和食のよさ、郷土料理のよさを知ってもらう

 

青江)和食を次世代に伝えていくために、どのようなことが必要だと思われますか?

 

長田)碧南市は白醤油が生まれた町ですが、碧南の小学生に白醤油のことを知っているかどうか聞いてみたところ、ほとんどの子どもたちが知らなかった。八丁味噌を知らない子どもはいないのに、です。これではいけないと思いましたね。そこで白醤油がどのように作られているのか、なぜこの地域で作られているのか、そういうことを子どもたちに伝えるために碧南市の醤油メーカーと料理人、市役所とタッグを組んで、依頼があった小中学校で「出前授業」を行っています。醤油メーカーの人に「白醤油ってどうやって作るのか知ってる?」と説明をしてもらい、その後料理人が白醤油を使った料理を作って、子どもたちに食べてもらいます。碧南市は、こんなに美味しい白醤油が生まれた町だということを知ってもらいたいんです。大人も子どもも、地元の食材・料理を誇らしく思ってもらいたい。良さを知ってもらわないと、残っていかないのです。昔ながらの地域の食文化を現代的にアレンジしながら、でもその根幹は変えずに伝え、次世代につなげていきたいと思っています。

 

 

長田)このような普及活動を進めながら、もちろん、お店でお客様に召し上がっていただきながら、地元の食材を地元の調味料で味付けすることの大切さも伝えてきたいと思っています。なぜなら、その土地に根ざしているものはその土地に合っているものです。その土地で暮らす上でそれらを摂取するのは体にも優しく、そしてそれこそが郷土料理だと思うからです。

愛知県は魚も沢山獲れるし、美味しい肉もあるし、野菜を作る人もいる。伝統野菜は35品種もあって、野菜の生産量も全国でベスト5に入ります。さらには八丁味噌や白醤油、みりんや酢、たまり醤油などの地域独自の調味料もある。このような地元ならではの食材や調味料を組み合わせて、生産者と消費者をつなぎ、地域を「食」で盛り上げたい。沢山採れる地元の野菜を、発酵調味料を使って保存食にしたり、漬物にしたり。食材を無駄にしない工夫も含めて、郷土料理の知恵を多くの方に知っていただき、味わっていただきたいと思っています。

 

インタビューを終えて

長田さんがおっしゃるように和食にはいかに「水」が重要かということを、改めて感じさせられました。醤油、みりん、酒、酢、味噌も水分を多く含んでおり、またうま味もたっぷり含まれています。日本古来の知恵や技が詰まった発酵文化に支えられた和食を改めて大切にしていきたいと感じますね。

 

今回のゲスト:「小伴天はなれ 日本料理 一灯」店主、料理プロデューサー 長田 勇久氏

1965年、愛知県碧南市の老舗日本料理店「小伴天」の長男として生まれる。愛知大学卒業後、東京「つきぢ田村」で修行。1995年、「小伴天」に入社。2015年、「小伴天はなれ 日本料理 一灯」を開店。

地域の食材と発酵文化の魅力、旬の大切さを多くの人に伝えるため、大学での公開講座、伝統野菜や醸造文化の研究と発信、小中学校や栄養教諭などへの料理講座など多彩な活動を生産者や食品事業者と協力し、行っている。「あいち在来種保存会」「南三河食文化研究会」「あいち発酵美食学コンソーシアム」などの活動にも主体的に関わり、地元の食材・食文化を料理人の立場から伝え、オンラインも活用した一連の食育活動において、2022年第17回食育推進全国大会inあいち・第6回表彰のボランティア部門 食育推進ボランティアの部で農林水産大臣賞を受賞。著書に「真空調理で日本料理」「わかりやすい真空調理レシピ」「応用 調味料の事典」(柴田書店出版)がある。

 

 

モデレーター:緑泉寺住職 青江覚峰氏 プロフィール

 

 

1977年東京生まれ。浄土真宗東本願寺派湯島山緑泉寺住職。米国カリフォルニア州立大学にてMBA取得。料理僧として料理、食育に取り組む。「暗闇ご飯」主宰。超宗派の僧侶によるウェブサイト「彼岸寺」創設メンバー。著書に『お寺ごはん』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『ほとけごはん』(中公新書ラクレ)、『お寺のおいしい精進ごはん』(宝島社)など。海外での精進料理公演などの実績も多く、日本精進料理界の若手僧侶。

 

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